0

丸山敬太の徒然なるままに vol.34

2024年09月20日

丸山敬太の徒然なるままに vol.34

心の旅

 

ここの所、30周年のあれやこれやで自分の人生を振り返っても、あの、デビューの時ぐらい、てんやわんやで、忙しく過ごしていて、体力的にも精神的にもすごくギリギリで、本来もっと丁寧にやりたかったやり取りや、嗚呼、ここはもう少し深く出来たのになあという、反省や落ち込みもありつつ、正直、自分の身の丈に合っていない、分不相応なことをやってしまっているのだから、当たり前なのだけど、本当に時間が足りない!

色々はじまってから、ずっと心に想っていることがあって、それを文字化しなきゃって毎日焦っていたのだけど、いつも気づけば夜が白みはじめていて、寝落ちどころか、展覧会前はこの歳で3徹とか痺れたけど、やっと今ちょっと落ち着いて書いてる。

 

先ずは「ケイタマルヤマ遊覧会」の幕が無事にあき、連日、沢山の人がいらしてくださっていて、感無量です。僕がこの展覧会をやろうと心に決めたのはちょうど1年位前のこと。実際準備に具体的に入れたのは夏の初め。キュレーターの薮前知子さんに、スケジュールのない中どうしても一緒にやってほしくて、願いが叶ってコンセプトを考え始めてから同時にやっていたたくさんのコラボ案件とともに無謀ともいえる量の膨大な資料と対峙しながら本当にギリギリまで粘って創った展覧会です。

何度もあちこちで語っているので、そのコンセプトはここでは割愛するのだけれど「服が時空を超えて旅をする」そんな現象がこの短い展示期間の中で、奇跡みたいにいろいろ起きていて、僕は毎日泣いてしまいそうに、、、いや、実際嬉しくて泣いている。

デビューコレクションの1点物のエンジェルのアップリケのしてある綿入りのお布団スカートと呼んでいた服を飾っているのだけど、とてもファーストコレクションを表しているルックなので、実際そのスカートを所有している、歌姫(ご想像にお任せします)から、スカートは貸していただいて、展示することができたのだけれど、そのトップスのコットンの白いブラウスがない。仕方なく最新コレクションの中から似合いそうなニットをスタイリングして展示していたのだけれど、僕のクラファンのツアーに松山からいらしてくれた。本当に久しぶりにお会いするお客様が、なんとそのブラウスを着てきてくれたのです。30年ぶりの再会。そのお客様は、当時友人の知り合いで紹介していただき、結婚式でうちのファーストコレクションを着てくれて(しかも、旦那さんに僕の私物のツイードのジャケットをお貸ししてたの。すっかり忘れてたけれど、)写真を見せていただき、あの頃の記憶が一気に蘇った。

そして、そのブラウスをちゃっかりお借りして、今は30年前のルックが完成している。90年代に和柄のパッチワークで、やっぱりウェディングをつくらせて貰った米子のMIKIちゃんが、僕のいない時にいらしてくれたのだけど、息子と一緒に撮って送ってくれた写真に写っているもうすっかり大人の彼が当時の旦那と見間違える位そっくりで、まあMIKIちゃんの見た目が若いのと相まって、30年の時を経た不思議な気持ちがした。そんなたくさんの懐かしい再会だけでなく、自分が伝えたかった。ものづくりの熱量を感じて、何度も足を運んでくれる若者や、うたプリやドリカムや、あゆや、たくさんのアーティストのファンの方たちや、夥しい数の図案を食い入るように見ている人や、刺繍の指示の細かさに息を飲む表情やもう自分が見たかった景色がそこら中に広がっていて、感謝しかなく胸がいっぱいです。

いつも勢いばかりで後先も考えず、スタッフや周りを巻き込んで迷惑ばかりかけてしまうのだけれど、30周年の自分の1番やりたかったことを無理をしてでも実現できて本当に良かったと心から思っています。僕1人では絶対にできなかったこと。今も昔もたくさんの仲間やチームがいたからこそ実現できたこと。そしてクラファンで支援してくれた方ももちろんたくさんの物語を共に作り出してくれたお客様たち、、、心から感謝しています。思い出も未来も一緒に共有できる場所「ケイタマルヤマ遊覧会-fashion-」表参道ヒルズスペースOは9月23日までです。本当に本当にがんばりました。手前味噌ですが素晴らしい展示になっています。ケイタマルヤマを通して時代とものづくりと言うものが垣間見れると思うのです。たくさんの人に見ていただきたいです。そしていっぱい感じたことを未来に伝えつないでいただけるととてもうれしいです。あと少しですがどうぞよろしくお願いいたします。