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TEXTILE MUSEUM vol.5

2022年01月28日

TEXTILE MUSEUM vol.5

TEXTILE NAME#5 薬玉柄

 

FEATURE COLLECTIOIN

1997-98 AW COLLECTIOIN

―美しい国 優しい人々―

 

 

 

THE STORY OF TEXTILE

ちょうどパリコレを始める前の年。パリに行くにあたり、日本人のルーツを盛り込んだ流れもあり、初めて着物など“和”の文化と向き合ってつくったコレクションです。山口小夜子さんにも出ていただいて、自分的にもエポック的なコレクションだったと思っています。

もともと“和”のものは好きで、刺繍カーディガンなどは、着物の“季節を纏う”という考え方を取り入れて作っていました。でもこのコレクションでは、洋服に羽織りを合わせたり、着物コート風のアウターをつくったり、ぽっくりを合わせたり、特に強く意識して取り入れています。

この時はプリントもたくさんつくっていて、全体的に着物の形状を意識したシーズンでしたね。乙女椿やしだれ桜柄なんかもありました。なかでも、この薬玉(くすだま)柄は、わかりやすく華やかで女の子らしい柄です。

もともと薬玉は、中国で無病息災や長寿などを願い、菖蒲などの薬草や香草を積めてつくられたもので、日本では端午の節句に飾られていました。そのイメージを描き起こしてもらっています。着物の柄だと、ヴィンテージの着物を元に復刻した柄もありますが、これはイチから描き起こしているので、ちょっと欧風というか、バターっぽいニュアンスもあるのが魅力。薄めのパープルとライトグレーの2色展開で、レーヨンのテロンとした落ち感のある生地にプリントしました。

 

このコレクションの後は、20周年で1回復刻してタフタのスカートをつくったくらいなので、薬玉柄のアイテムを持っている人は、かなり古くからのお客さんですね。