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丸山敬太の徒然なるままに vol.2

2021年10月19日

丸山敬太の徒然なるままに vol.2

a day in the life

9月が瞬く間に過ぎて、神無月ももう半ば、、気分はすっかり秋ではあるけれど、まだ、
ニットとか中々着れない日々、、、でもお洒落はしたいよね?という事で早く爽やかに
冷え込んでくれないかなぁと思う今日この頃。いつからこんな亜熱帯みたいな気候に
なったのだろう、、温暖化の影響は深刻なのである。←この話は深ーーーくなるので又、
別の機会に語りたいと思う。

さて、先月は勿論それなりに忙しくしていたのだけれど、どうにか、歌舞伎に出掛けたり、いくつかの印象的な美術展に出掛けたり、バランスよくできた。横尾忠則さんの現代美術館でのエネルギー溢れる渾身の展示では、文字通り魂を持って行かれる熱量にしばらく茫然と
してしまったり(いつかの、石岡瑛子展もそう。)蜷川実花ちゃんの、上野での展覧会も素晴らしく、まるで、あの世とこの世、現実と虚構、表と裏、、、あらゆるものを行ったり来たりするような、浮遊感に酔いしれたり、すごい、心のチャージが出来て、
まさに芸術の秋。(言葉にすると陳腐w)

そんな中で一番心に残るというか、なんだか今まで一度も感じた事のない不思議な想いが
込み上げてきたのが、世田谷文学館で開催されていた、安西水丸さんの展覧会、、、。
友人の越智君が、インスタで、とても良かったのでもう一度行きたい!みたいなポストをしていて、それを見つけて「一緒に行きたい!」と、メッセージした時まで、不義理なことに、高校生で美大なんぞ目指して、お茶美とか通っていた頃、大好きで影響受けまくっていた安西水丸さんの事を、10年ぐらいの間、随分と遠ざかっていた。
思い出すことすらそんなになかったのに、急に自分の中で色んな想いが目まぐるしく
動きはじめた。そういえば、もう何年も前に訃報のニュースを見ていて、もう既にいらっしゃらない事も想い出した。ごめんなさいというのも、また違うのだけど。

世田谷文学館は、小さな美術館で、いつも心のこもった良い展示をされるのだけど、今回のもまた素晴らしかった。
イラストレーターであり、文筆家でもあり、グラフィックデザイナーであり漫画家でもある、水丸さんの膨大な仕事を眺めながら、本当に若い頃から、村上春樹さんの本の表紙や、ガロの作品も、ユーミンのパールピアスのアルバムのライナーや、新聞広告、ビックリハウスや当時のありとあらゆるメディアの中にある水丸さんの質の高いデザインというものを浴びるようにみていたあの頃。。。

その沢山の原画やら仕事やらを見ながら、ともすれば商業デザインとか、今となってはデジタルの波に呑み込まれがちな、イラストレーションというひとつの表現は、流れていく美学みたいなものがあって、時代を描く刹那的なモノだと(ファッションもどちらかというとそのカテゴリー)と、勝手に思い込んでいた僕に、、この展覧会は全くそうではないと、
強く、教えてくれたのでした。

 


生前、水丸さんにお会いする事もお仕事をご一緒させていただく事も残念ながら全く出来なかったのだけど、改めて、烏滸がましくも勝手に感じる憧れと既視感。。。。


会場には作品の他に、水丸さんの愛用品や服、集めていた物や本棚、アトリエの再現などがされていたのだけど、、、同じ眼鏡や、万年筆。自分の本棚かと思うような揃えや、ブルーウィローの器や、スノードームの蒐集、、、、
沢山の僕も好きなモノたちを重ね合わせ、まるで昔の大好きだった人に再会したかのような、そんな不思議な気持ちになりました。


そして、改めてもう、今世ではお会い出来ないという事も。

作品に感動して心が動かされる事は多いのですが、それとはまた違う、
なんとも言えない初めての感情で、泣きました。

時代というものに寄り添う、デザインという仕事は、そんな風に誰かの人生みたいな、
生活みたいな、想い出みたいなモノを巻き込んで其処に有るのだと。。。

僕がやりたいこともまさにそういうことなんだと。

そんなことを改めて思い返す、10月16日深夜3時過ぎ。

人生はたった4行、もう自分も3行目後半。。。
(会場の水丸さんの年表は4行にまとめられていました。)





Photo by Ochi Yasutaka